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2008年04月11日

映画「マンダレイ」

映画「マンダレイ」は「ドッグビル」の姉妹編だ。
今度はアメリカ南部の綿花のプランテーション農場が舞台だ。
黒人を極限まで酷使してきた経営者の老婦人が病に倒れ、マンダレイをギャングの娘が受け継ぐことになった。抑圧された黒人社会を解放し、平等に権利を享有するために彼女は奮闘する。はたして、黒人が解放され人権を享受する理想社会をつくることができるだろうか。

「マンダレイ」は曼荼羅(マンダラ)からもじったものであろう、ひとつの秩序世界だ。

ギャングの娘が、社会を変革する、という設定が興味深い。俳優がうまい。
暴力を排しての平和的変革はうまくいくのかどうか。実に演劇はおもしろい。

ここで歴史的背景はというと、
黒人を奴隷として働かせて綿農園は成り立っている。綿をイギリス市場に向けて商品生産するには、安い労働力が欠かせない。だから農場主は賃金を払わなくてすむ奴隷を商人から買う。一方、商人はアフリカから奴隷を買い付け、連行し、アメリカ南部で売る。打ったお金で南部の綿や中米の砂糖を買いヨーロッパで売る。そして原料の安価な綿から生産された安価な繊維製品、武器を買い、再びアフリカにわたり売りさばき農場で働かせるために奴隷を買いつける、というわけだ。ここに三角貿易が成り立つ。
しかしながら、はじめからアフリカに奴隷がいたわけではない。武器や暴力で脅し黒人を拉致監禁して、船に乗せてアメリカに連行したのだ。奴隷船の苛酷な扱いや劣悪な環境で三人にひとりは命を落としたのではないかといわれている。
市場向けに大工場で生産された綿織物はまさに世界をまたにかけた世界商品となった。

アメリカは移民の国だが、強制的に連れてこられた人もいるのだ。そして、かつては原住民が平和に暮らしていた時代もあったのだ。
新大陸を発見したコロンブスははたして英雄なのかそれとも侵略者なのか。
立場をかえれば、どちらともいえる。


地球は収奪と暴力に明け暮れる闘いの星だ、といえる。

そして、現在、地球は最も危ない状況に置かれている。
地球が悲鳴を上げはじめたのだ。

投稿者 恵比寿 : 2008年04月11日 23:04

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