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2007年07月19日

耳鳴り

 愛機のパワーあふれるエンジンに背中を押されながら飛びつづけた日は、夜、床の中でも4000ヘルツの音の中で飛んでいる。
 

怖くはないですか?とよく訊かれる。
そのときは、正直に感じたことを話すことにしている。

実は、飛行中に自分の姿を意識すると、なんとも頼りなくなってしまうことがある。周りを見回すと、地上ははるか下のほう、足の下には何もない。たった2本のライザーで吊られている哀れな存在に見えてくる。すると、「もしこれが切れたら?」と、つまらぬ考えがふっと沸いてくることがある。不安がいきなり沸き起こるや、「怖い」という感情が偉そうに登場する。

そんなときは?

ライザーに命を懸けている事実を確かめ信じることだ。

「とにかく今は飛んでいるのだから、地上に降りるまでは信頼するのだ。
ライザーが切れる確率は、ほとんどないに等しい。
墜落することばかりを考えて、後悔しながら飛ぶのは望むところではない。
少なくとも、今は、地上に激突することなく、前に進んでいるのだから。
あとは、そのまま目的地にまっしぐらだ」


そして、怖いまま思い切り大きな声を出す。


その瞬間、怖さは支配者ではなくなる。怖さと一緒にいることができる。

自分は生きている、と全身で感じられるのだ。

投稿者 恵比寿 : 2007年07月19日 20:34

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