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2007年03月16日
本選びのポイント
皆様、いかがお過ごしでしょうか。引き続き、百人一首を勉強中の龍之介です。上の句を聞いて、何とか下の句が出るようになりましたが、その過程でまだ時間がかかっております。パソコンで例えるとナローバンドといったところでしょうか。ブロードバンドにはまだ遠いようです。
さて、何か本(特に小説)を読みたいと思っていても、「どんな本がいいか分からない」という経験をしたことはありませんか? そんなとき、私はある条件を満たした本を優先的に選ぶことにしています。
それは、実写化された作品を読むというものです。つまり、ドラマ化された作品や映画化された原作本を読むのです。
そのことで文中の登場人物が演じた役者へとイメージ変換しやすくなり、「このシーンはドラマで見た」と、その場面を容易に想像することもでき、スムーズに読むことができます。
また、原作との相違点を楽しむのも醍醐味の一つです。特にドラマの主役と原作の主役が違うケースが多く(松本清張の『砂の器』や東野圭吾の『白夜行』などこのケースは幾多もある)、この人物の視点から見たらこういう感じになるのかと、別の角度から作品を堪能できます。
ただ、これはあくまでも映像化されたものを先に見たから楽しめるものであって、先に原作を読んだら、「原作と違うし、全然作品の良さが伝わってこない」と憤慨する可能性が高いので、あらかじめご注意ください(宮部みゆきの『模倣犯』は原作を読んでから映画を見たため、ラストシーンに愕然とした覚えがあります)。
尚、一つ気をつけなければならないのは、ドラマ化されたものは全部終わってから読むということですね。ドラマの途中で読むと先の展開が分かってしまい、興味が削がれてしまう恐れがあります。過去に『白い巨塔』でそういったミスを犯してしまい、途中で財前教授が死ぬことを知ってしまって、ショックを受けた覚えがあります。
あと、ドラマの最後を締めくくった「なお、自ら癌治療の第一線にある者が早期発見できず、手術不能の癌で死すことを心より恥じる」という印象的な言葉ですが、原作ではその言葉を最後に締めくくっていないのです。だから、ドラマを見たときには「そう来たか!」とちょっとしてやられた気分になりました。
ちなみに、今私が読もうと思っているのは『白い巨塔』と同じ作者である山崎豊子の『華麗なる一族』です。何となくドラマを見ているうちに、重厚なストーリー展開にすっかりはまり込んでしまいました。原作では鉄平(木村拓哉)ではなく、大介(北大路欣也)視点で話が展開しているとのことなので、その辺でドラマとの相違点を味わってみようかと思います。
投稿者 龍之介 : 2007年03月16日 00:01